ラジオ『独立系FPのカネトーーク!!』第16回のテーマは…
独立系FPを目指す「machi」さんがゲストに登場し、日本のFP業界や保険業界のリアルな実態について赤裸々に語っています。保険会社や代理店で作成される「ライフプラン」が、抜け漏れだらけの「なんちゃってライフプラン」になってしまうのはなぜなのか。保険を販売する側の論理や、業界特有の構造的な課題にふれます。
ゲスト紹介 machiさん
✅保険代理店の営業職として勤務
✅「独立系FP」を目指して勉強中
✅元保育士のシングルマザー
✅子育て支援や、働くママを応援する活動に意欲的
『お金はいのち』という信念のもと、家計管理や保険の見直しに取り組み、実践されている「machi」さん。
「保険業界で感じた違和感について、どうしても話したいことがある」と、強い思いからご出演いただきました。
保険業界のウラ話
machiさんが現場で強く感じた「違和感」の一つは、保険会社や代理店で使われている「ライフプランソフト」が簡易的すぎることです。
独立系のFPが使うライフプランソフトは、かなり細かく、正確なライフプランが作れます。しかし、保険会社や代理店のソフトはかなりざっくりしていて「どんぶり勘定な印象を受ける」そうです。
多くの方は家計管理があまり得意ではないと思います。だからこそ、FPが細かくサポートする必要がありますが、それがしっかりしていないと意味がありません。
machiさんは保険会社で使用しているライフプラン作成ソフトについて、「教育費の計算は甘く、固定費や臨時費用については入力するところがない」と指摘しています。同じく保険販売をされているきよみんさんも、抜け漏れだらけのライフプランツールだ、と同意していました。
携帯代などの固定費が考えられていなかったり、ライフプランが85歳で終わっていたり、その時点での貯蓄残高がわずか200万円しかなかったり。人生100年時代と言われている今、年金の受取額が減少していることをふまえても、もっとしっかりとしたライフプランが必要だと考えられます。
どうしてこんなに、「どんぶり勘定」かつ「抜け漏れだらけ」のライフプランがまかり通ってしまうのか。それは、保険会社や代理店の仕事は「保険を売る」ことであり、ライフプランソフトはあくまで「保険を売るためのツール」として使われているからです。
無料相談のライフプランって…

「保険を売る」という目的のために作られたライフプランが「なんちゃってライフプラン」になるのは、仕方がないことかもしれません。
独立系FPは、かなり緻密なライフプランソフトを使って、顧客に本当に必要な保険の種類や金額を理論的に導き出します。これに対し、保険会社のライフプランは「保険に入れば大丈夫ですよ」と、不安を安心に変えるツールとして使用されている面があります。
保険を販売する人の中には、手数料収入の高いドルベースの変額保険や外貨建て保険などをすすめる人もいますが、それが本当に顧客に合っているのかは疑問だ、と指摘する声も。
日本では、お金や家計の悩みを誰かに話したり、相談したりすることへ報酬を払う習慣がまだ根付いていません。FPは、お金の専門知識を技術を持っているスペシャリストなのですが、その相談時間や知識に対してお金を払うという認識が薄いことが、無料相談の質の低下にも影響しているのかもしれません。
残念ながら、現状では「保険屋さんの仕事」は「ライフプランを作る」ことではないのです。
ちなみに、イギリスでは代理店からのキャッシュバックが法律で禁止されており、中立的な立場のFPに有料で相談することは一般的です。
フィデューシャリー・デューティーとは
多くの保険会社や代理店の店頭に飾ってある「フィデューシャリー・デューティ宣言」は、簡単に言うと「お客様の利益を最優先して行動します」というプロとしての約束のことです。
特に、金融・保険・資産運用などの業界では、お金を扱う仕事の人たち(たとえば独立系FP、金融アドバイザーなど)が、「自分の利益」ではなく「お客様の利益」を第一に考えて行動することが求められます。
お金のアドバイスをする仕事は、「本当にお客様のためになるアドバイスか?」「自分の売上や手数料を優先した提案になっていないか?」を常に意識しなければいけません。
これでは、お客様が損をしてしまいますよね。だからこそ、プロとして、「私は絶対にお客様の立場に立って行動します」と明確に宣言することで、信頼してもらえるし、安心して相談してもらえるのです。
しかし、手数料を優先して、顧客に本当に合っているか分からない商品を勧めてしまう業界の構造があり、なかなか守られていないのが現状です。
正直に顧客と向き合い、本当に必要なものだけを勧めても、手数料はあまり入ってこないかもしれません。machiさんは「正直にやらないと顧客との関係がつながっていかない」「きちんとライフプランを作って提供することが何よりも大事」と訴えます。
ライフプランは中立的な立場のFPに依頼しよう!

「ライフプラン」の質は、提供者によって大きく異なる可能性があります。
特に、「無料」 で提供されるライフプランには注意が必要です。それが本当にあなたの人生全体のプランニングのためなのか、それとも特定の商品を販売するための手段なのか、立ち止まって考えましょう。
今回のトークで、家計や将来については「どんぶり」 ではなく「緻密に」 向き合うことの重要性を、改めて感じていただけたと思います。
専門家への相談を考える際は、その専門家が本当にあなたの利益を最優先に考えてくれるのかを見極め、相談料を支払う価値があるか考えましょう。あなたの人生にとって、本当に必要なライフプランとは何か を考えるきっかけになれば幸いです。