ラジオ『独立系FPのカネトーーク!!』第13回のテーマは…
「死ぬ時に残高ゼロ」という過激なタイトルで話題を呼んだ書籍『DIE WITH ZERO』。
「お金はあの世には持っていけない」「人生は、お金を集めるゲームではなく、思い出を集めるゲームだ」といった斬新な考え方は、多くの人の価値観を揺さぶりました。今回は、お金のプロからみ見た『DIE WITH ZERO』の魅力や考察を語っています。
「DIE WITH ZERO」を読んで
書籍『DIE WITH ZERO』(著:ビル・パーキンス)は、「死ぬときにお金を残しても意味がない」というメッセージが根底にある本です。
人生はお金を集めるゲームではなく、思い出を集めるゲームであるという重要な視点が示されており、「思い出をどれだけ作れたか」が幸福のカギになると説かれています。

日本では約2000兆円もの個人金融資産が眠っているとも言われていますが、『DIE WITH ZERO』のような考え方が広まれば、もっとお金が流通し、社会全体が元気になるかもしれません。
また、本の中では「若い時に借金をしてでも旅行へ行く」というエピソードも登場。これは無計画に浪費するという話ではなく、「若い時にしかできない経験には、お金をかける価値がある」という考え方です。
特に印象的なのが、「思い出の配当(Memory Dividend)」という概念。若い時に作った楽しい思い出は、年齢を重ねても何度も思い出すことで喜びを味わえます。
FPの視点では、老後資金の準備はもちろん大切です。でもそれは、「今、何にどれだけ使えるのか」を明確にするための手段。将来の不安に縛られて、今しかできない経験を我慢してしまっては、本末転倒です。
ライフプランニングを通じて、本当にしたいことを見極め、今を楽しむことの重要性に多くの人が気付いてほしいと思います。
若い時のお金の価値は高い
若い時のお金は「思い出の配当(Memory Dividend)」として、その後の人生で長く喜びや共感をもたらします。
若いうちは体力も時間もあり、行動範囲が広く、経験の吸収力も高いです。たとえば、20代で海外旅行へ行くと、その後の人生で何度も思い返せる「思い出の配当」が手に入ります。
一方、年を重ねると、体力的な理由から無理がきかず、同じ経験をすることが難しくなります。若いうちに経験を積んでおくと、30代、40代、さらにそれ以降の人生でも語りつぎ、楽しむことが可能です。
さらに、「若い人が手取りを増やす方法」として「選択制確定拠出年金(企業型DC)」を紹介しています。活用できれば、社会保険料をおさえて手取りを増やせるので、若い時に手元のお金を有効活用し、経験や思い出作りに投資することができるでしょう。
ただし、無計画な浪費を推奨しているわけではありません。ライフプランにもとづき、計画的に使うことが大切です。
年老いた時の健康と時間の価値は高い

『DIE WITH ZERO』は「健康・時間・お金の三角形」は、トレードオフの関係だと伝えています。
✅若い時:健康と時間はあるが、お金は少ない
✅中年以降:お金は増えるが、時間や健康が減ってくる
✅高齢期:お金はあるが、健康も時間も少ない
つまり、どれか1つだけでは幸せを感じにくく、バランスが大事だということです。
実際に、年を重ねてからの旅行は「疲れるから無理」となりがち。どんなにお金があっても、若い頃の体力や自由な時間は買い戻せないのが現実です。
放送では、優里さんが歌う「ビリミリオン」の歌詞を紹介しました。高齢の男性が若い男性に「50億円で君の人生を買わせてくれ」と言うけれど、若い男性は「自分の人生には100億円以上の価値がある」として、その申し出を断る、という内容です。
お金があっても若さや人生そのものを買うことはできない、という「DIE WITH ZERO」の考え方に通じるものがありますね。
“今”という時間を大切にし、健康なうちにやりたいことをぜひ実現してください。お金は将来への不安でため込むばかりではなく、「自分の人生を豊かにする経験」に使うことが大切です。
私たちFPは、このような考え方を広め、多くの人が後悔しない人生を送る手助けをしたいと考えています。
お金は「ためる」と「使う」のバランスが大切!
お金は道具です。道具は、いつ、どのように使うかが大切で、上手な使い方を知らないとうまく活用できません。
「老後のために貯金しないと不安…」
「将来が見えないと何もできなくて…」
書籍はそんな悩みを持つ人に対し、「本当に大切なのは今この瞬間をどう生きるかだ」と背中を押してくれます。
老後の準備はしつつ、“今”の自分にもお金を使い、思い出の配当をどんどん増やしていってください。
お金は人生を守るもの、というイメージが強いかもしれませんが、それ以上に人生を豊かにするためのツールであることを忘れないでください。今いくら使って、いくらためれば良いのか分からない人は、この機会にライフプランを考えてみましょう。わからないことがあれば、私がお手伝いいたします!
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