認知症で口座凍結?任意後見・家族信託で財産を守る【FP1級が教える回避策】

「親の通帳はあるのに、介護費用が引き出せない……」そんな事態が、いま全国で急増しています。

認知症などで判断能力が不十分だと判断されると、銀行口座は「凍結」されます。たとえ実の子どもであっても、親の代わりに自由に預金を下ろすことはできません。介護施設への入居一時金や入院費など、大きなお金が必要なときに「親の資産が使えない」というのは、家族にとって想像を絶するストレスになります。

本記事では、介護現場の経験を持つFP1級・終活ガイドの視点から、財産凍結の恐ろしさと、それを未然に防ぐための「任意後見」や「家族信託」について分かりやすく解説します。

この記事を読めば、大切な親の資産を守り、家族が共倒れにならないための「具体的な備え」が分かります。手遅れになる前に、正しい知識を身につけましょう。

目次

認知症で「銀行口座が凍結」!? 財産凍結リスクが家族にもたらす危機

銀行は、預金者の判断能力が失われたことを知ると、資産を守るために口座を凍結します。これは「悪意のある引き出し」を防ぐための処置ですが、現実には家族の首を絞めることになりかねません。

財産凍結とは?口座から生活費が引き出せなくなるリアルな事例

認知症が進行し、意思表示が困難になると、定期預金の解約や不動産の売却ができなくなります。

  • 具体例:親の介護施設入居費用(数百万円)を親の貯金から出そうとしたが、銀行窓口で拒否され、子が全額立て替えることになった。
  • 具体例:老朽化した親の自宅を売却して介護費用に充てようとしたが、本人の意思確認ができず売買契約が結べない。

凍結された後の煩雑な手続きと、家族が負う精神的・経済的負担

一度凍結されると、基本的には「成年後見制度(法定後見)」を利用するしか道はありません。しかし、この手続きには数ヶ月の時間がかかり、鑑定費用などで数十万円のコストが発生することもあります。さらに、一度選任されると原則として途中でやめることはできず、専門家が選ばれた場合は毎月の報酬(数万円〜)を支払い続ける必要があります。

相続とは違う!生前の「財産管理」の重要性

「うちは相続対策をしているから大丈夫」という方も注意が必要です。相続は「亡くなった後」の話ですが、財産凍結は「生きている間」の問題です。亡くなるまでの数年、あるいは十数年にわたる介護生活を支えるには、生前の管理体制を整えることが不可欠です。

終活ガイドが提案する、元気なうちに行うべき「法的な備え」

判断能力がしっかりしている「今」だからこそ選べる、2つの有力な対策を紹介します。

任意後見制度とは「自分の信頼できる人に管理を託す」仕組み

任意後見は、将来に備えて「誰に」「どんな管理をしてもらうか」をあらかじめ契約(公正証書)で決めておく制度です。

  • 結論: 自分で後見人を選べるため、家族に任せたい場合に適しています。
  • 注意: 実際に活動が始まるのは、判断能力が低下し、家庭裁判所が「監督人」を選任してからです。

家族信託とは「柔軟に財産を動かせる」新しいカタチ

家族信託は、特定の目的(例:自分の介護費に充てるため)のために、財産の管理権限を家族に託す契約です。

  • 理由:裁判所の関与がないため、管理の柔軟性が非常に高いのが特徴です。
  • 具体例:認知症発症後も、受託者(子など)の判断で自宅を売却したり、資産を運用したりすることが可能です。

任意後見と家族信託のメリット・デメリット比較表

スクロールできます
項目任意後見制度家族信託
主な目的本人の生活・療養の守護柔軟な財産管理・処分
開始時期判断能力低下後契約締結後すぐでも可能
裁判所の監督あり(監督人がつく)なし(家族で完結可能)
費用監督人への月額報酬が発生導入時のコンサル費用が中心
身上保護あり(施設契約など)なし(財産管理のみ)

準備の第一歩!CFP/FP1級が教える財産目録作成のコツ

どの制度を利用するにしても、まずは「何がどこにあるか」を把握しなければ始まりません。

把握しておくべき「マイナス資産(ローン、借金)」の確認

プラスの資産(貯金、不動産)だけでなく、借入金や保証人になっているもの、未払いの税金なども必ずリストアップしましょう。これらは、将来の支払計画に大きく影響します。

専門家(弁護士・司法書士・FP)との連携のタイミング

契約書の作成には法的知識が必要ですが、その前段階の「どういう老後を送りたいか」「予算はいくらか」というシミュレーションはFPの得意分野です。制度を決める前に、まずはライフプランニングの専門家に相談するのが効率的です。

夫婦・親子で話し合うべき「意思確認シート」の作成

「お金の話」は切り出しにくいものですが、「もしものとき、お父さん・お母さんの希望通りにしたいから」という理由で話し合いを持ちかけましょう。延命治療の有無や、入りたい施設、使いたいお金の優先順位をシートにまとめると、スムーズです。

まとめ:家族の安心は「生前の手続き」で手に入れる

認知症による財産凍結は、決して他人事ではありません。

  • 認知症になると口座が凍結され、家族でもお金が下ろせなくなる。
  • 元気なうちに「任意後見」や「家族信託」の検討が必要。
  • まずは「財産目録」を作り、現状を可視化することから始める。

介護が必要になったとき、お金のことで家族が揉めたり、子が苦労したりするのは、親の本意ではないはずです。今、重い腰を上げて準備することが、将来の家族全員の笑顔に繋がります。

任意後見と家族信託、どちらが自分の家庭に合っているのか判断するのは難しいものです。弊社では、FP1級・終活ガイドの視点から、あなたの資産状況に合わせた「財産凍結対策」の個別相談を承っております。

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この記事を書いた人

保有資格:J-FLEC認定アドバイザー / 1級DCプランナー / 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / CFP/ 介護福祉士 / 資産形成コンサルタント / 終活ガイド資格2級
経  歴:『幸福で安心な老後』をサポートする中立的なアドバイザー。介護業界で9年間働いた経験から、長生きリスクに備えたプランニングが得意。結婚、子育て、離婚などの人生経験をもとに、悩みに寄り添い、一人ひとりに合った最適なプランニングを心がけています。

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