ラジオ『独立系FPのカネトーーク!!』第9回は、以下のテーマで話しました。
ライフプラン作成ソフト「ファイナンシャルティーチャーシステム」についてもふれているので、「自分でライフプランを作りたい」と考えている方はぜひ参考にしてください。
FP事例研究会2月振り返り|住宅ローンを組みたい夫婦からの相談
先日、ライフプランソフト「ファイナンシャルティーチャーシステム(FTS)」の作成者が主催する、ライフプラン事例研究会に参加しました。印象的だった相談事例について考察します。
相談事例:住宅ローンを組みたい夫婦
夫婦2人で暮らしているという女性から、以下のような相談がありました。
<相談内容>
「父親から相続した土地に、夫からの贈与を元に住宅ローンを組みたいのですが、大丈夫でしょうか?」
相談者である妻は、夫の扶養内で働いており、将来に金銭的な不安を感じています。
父親から相続した土地に自分の名義で新築の家を建てたいと考えましたが、パート収入しかないため、夫からの贈与を元に住宅ローンを組むことを検討していました。
自分名義で新築したいのは、離婚した場合に自身の資産とするためです。
この相談に対するFPの回答は以下の通り。
<FPによる回答>
✅収入が少ないため、妻名義で住宅ローンは組めない
✅夫名義でローンは組めるが家の名義も夫になる
✅夫婦間でしっかり話し合うことが大切
✅事業性融資を利用して家を建てられる可能性がある
✅夫婦間の贈与は結婚してからの年数が問題になる
結論として、相談者の希望に沿うのは難しいです。
回答① 離婚対策をするなら相談者もしっかり働いて貯蓄を

すぐに家を建てるのではなく、将来のために相談者自身がしっかり働き貯蓄していくことを提案しました。
家は資産ですが、税金などの維持費・管理費がかかりますし、売却も買手が見つからないとできません。収入も貯蓄もない場合、現金が尽きて生活が困窮する可能性が考えられます。
もうひとつの選択肢として、相談者が事業主となり、事業性融資を利用して家を建てる案も考えられます。事業性融資を利用するためには条件があるので、気になる場合は調べてみてください。
しかし、いずれにしても夫からの贈与が前提となる点に注意が必要です。
回答②夫婦間の贈与は婚姻期間が重要(通称:おしどり贈与)
<夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除適用条件>
✅夫婦の婚姻期間が20年を過ぎている
✅居住用の不動産または居住用不動産を取得するための金銭
✅贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住すること
✅同じ配偶者からの贈与については、一生に一度のみ利用可能
基礎控除額110万円のほかに、最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。この特例を使えば、かなりの節税になりますね。より詳細な条件を確認したい方は、国税庁のホームページから確認してください。
今すぐ離婚するつもりがないなら、長期的な目線で計画することをおすすめします。今回の相談は夫婦関係も大きく関わってくるので、お互いを思いやった話し合いが最も重要です。
FTSのアップデートについて

ファイナンシャルティーチャーシステム(FTS)とは、無料で利用できる高性能のライフプラン作成ソフトウェアです。アップデートで大変使いやすくなります。
①投資運用・資産運用の機能が大幅に向上
これまでできなかった定額取り崩しの計算が可能になります。
具体的には、DC(確定拠出年金)などの取り崩しにおいて、一括や分割だけでなく「何年にいくら取り崩す」といった設定ができるようになります。老後の計画的な「資産の取り崩し」ができると、再現性が高まりますね。
②投資の目的別の管理がカンタンに
目的意識を持った運用がしやすくなります。

運用は、「目的」があってこそ!
これまでは老後資金や教育費など、複数の目的のために投資を行っている場合、それぞれ別々に管理する必要がありました。
アップデート後は一つの投資の中で、「各目的のためにいつ・いくら取り崩すか」を設定できるそうです。
③債券投資における利息の複利運用の計算が可能に
債券投資における利息の複利運用の計算や、高配当株の配当金の受け取りを計算できるようになります。
これにより、投資からの収入をより具体的にライフプランに組み込めます。配当金が家計にもたらす影響は大きいので、よりリアルなプランができそうですね。
これらのアップデートにより、「何のためにためているのか」という目的意識を持ちながら、ライフプランを作成・管理できるようになりました。プランがしっかりしていると、ためすぎを防ぐことにもつながります。
ライフプランをみんな作ってほしい


無料で利用できるFTSを活用して、ぜひライフプランを作成してください。
ライフプランを作成しない人生は、設計図なしで家を建てるようなものです。以前ラジオで紹介した野尻さんの言葉を借りれば、下山ルートを確認せずに登山するようなもの。
目的地や降り方が分からないまま進むと「どこまで登ればいいのか分からない」と不安になったり、お金が減ることへの過度な恐怖から、必要な時に使えなかったりします。
ライフプランをしっかりと組み立てれば、安心してお金を使うこともためることもできる。個人事業主が事業計画書を作ることに例えるなら、ライフプランは人生の事業計画書といえます。いつまで事業を続けるのか、どれくらいの売上が必要なのか、見通しがたてば安心できますよね。
より多くの人がライフプランに関心を持ち、作成すれば、世の中がもっと豊かになると信じています。
お金の不安はライフプランで解決しよう!
💭「自分でライフプランを作成してみたものの、正しいか分からないので添削してくれませんか?」
最近はこんな依頼が増えています。自分一人で作成すると抜け漏れがあるため、ぜひ客観的な視点やツッコミを第三者に依頼し、より精度の高いライフプランを完成させてください。
無料のFTSが広く利用されることにサーバー代などの懸念も示唆されていましたが、「多くの人に利用してほしい気持ちの方が強い」という言葉に私の気持ちも熱くなりました。将来的に、FPとライフプラン作成の顧問契約を結び、定期的な見直しサポートのサービスを受ける人が増えれば、お金に困る人が減ると期待しています。
相談者本人が自立してライフプランを管理できるようになることが、私たちFPのゴールです。ライフプランの作成が難しい・面倒だと感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。自分で作れるよう、全力でバックアップいたします。