お金系雑談ラジオ『独立系FPのカネトーーク!!』の2025年2月18日に配信された内容を記事にまとめました。今回は「とりあえずNISAを始めたけど、将来どうやって使えばいいの?」「何歳まで、いくらためればいいの?」不安な方に、取り崩し方の大切さを伝える内容です。資産形成の山は登り方だけでなく、安全な下山ルートもしっかり確認しておきましょう!
埼玉4SG合同研修会のアウトプット
老後の資産活用に特化した野尻哲史さんの講演を聴講しました。資産形成後の資産活用の重要性を知っておきましょう。
野尻哲史(のじりさとし)さんの紹介

野尻哲史さんは、合同会社フィンウェル研究所の代表です。資産形成や資産活用の啓もう活動を20年以上行っておられ、書籍の執筆もされています。
個人的な感覚として、資産形成の方法を知る人は増えてきましたが、資産活用(資産の取り崩し方)のイメージを持てていない人は多い印象です。
人間は必ず老います。幸せな老後が具体的にイメージできない方は、ぜひ野尻さんの著書を読んでみてください。お金の不安がなくなるだけで、モヤモヤがスッキリするはずです。


資産活用のポイント
<下山ルートの確認ポイント>
✅100歳目標に逆算して計画しよう
✅「運用する期間」と「使う期間」を分けて考えよう
まず、ゴール設定は100歳にしましょう。
「私はそんなに生きられない!」と思うかもしれませんが、厚生労働省が発表した100歳プレスリリース(令和6年9月15日時点)によると、日本の100歳以上の人口数は95,119人。前年比2,980人のプラスで、100歳以上の人口は54年連続で増加しています。「人生100年時代」は、他人事ではありません。
ゴールが決まると「いつまでに、いくらためるべきか」がわかります。
老後資金は「ためる」だけでなく「使う」ことをセットで考えてください。
老後のお金について

資産活用の方法は、以下の2段階で考えます。
①資産運用(投資)しながら使う期間 = 投資を続けながら、少しずつ取り崩して使う
②運用運用(投資)をやめて使う期間 = 投資商品はすべて売却し、使う
運用しながら使う期間
資産運用しているお金は「運用しながら使う」ことが可能です。退職金のように、一定の年齢で口座へ振り込まれるわけではないので注意してください。
登山に例えると「山を登るなら、登るルートだけでなく、下山ルートも事前に計画しておくことが大切だよね!」ということ。老後も同じで、どれだけ資産をきずいても、それをどう活用していくか出口戦略がなければ安心できません。
運用している株価などは上昇する可能性があります。値上がりを想定せず老後に必要な資金を計算すると、目標額が大きくなりすぎてしまいます。
運用をやめて使う期間
人は年齢が高くなると、意欲や判断能力が低下します。そのため、すべての運用をやめるタイミングが必要です。
目安として、以下のような想定でライフプランを設計します。
✅100歳の時にすべての運用をやめる
✅100歳の時に100万円の貯蓄が残る
年金の支給額も考えると、かなり個人差が大きくなる「老後のライフプラン」。考えるとキリがないので、まずは悩まずこの設定を使ってみてください。
加齢にともなう認知能力の低下は、実感しにくいです。健康状態や家族の状況に応じて、元気なうちの手続きをおすすめします。
証券口座の取り崩し予約設定がほしい


自動でポートフォリオの変更ができる予約設定があると便利だよね
ラジオでは、高齢期の資産管理をスムーズにするために、証券会社にはぜひ「取り崩し予約設定」を導入してほしいと話していました。
例えば、70歳で80歳からの取り崩し額を設定しておき、状況が変わればいつでも設定を変更できる仕組みです。健康状態に応じて変更できるなら、安心して運用できますよね。
投資商品の中には、投資家の年齢やライフサイクルにあわせて資産配分が自動調整される「ターゲットイヤー型」の商品もありますが、一般的に手数料が高めです。また、自分の意志で自由にポートフォリオを変更することもできず、相場に乗れないデメリットもあります。
元気なうちに、いつでも予約設定ができる機能があれば、高齢者の方も安心して資産を活用できるのではないでしょうか。
まとめ
老後のプランニングは、資産形成だけでなく、資産活用も重要です。下山ルートをしっかり確認してから、登り方を決めましょう。
講義では「個人が持っている資産の総額は3,000兆円。その6割にあたる約2,000兆円を、60歳以上の方が持っている」という話もありました。相続人も高齢化するなか、60歳以上の方で資産がぐるぐる回っている状況です。
老後のライフプランがしっかりできるようになれば「不安だから、とりあえず持っておこう」と貯蓄される方も減るのではないかと考えています。老後の不安からこれから向けて貯蓄する方。すでに老後をむかえてお金はあるけど不安な方。両方に対して不安をとりのぞくお手伝いができれば幸いです。
老後のお金について不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。