年金をもらいながら働ける金額とその計算方法

年金をもらいながら働くことは可能ですが、給与収入が一定額を超えると年金がもらえなかったり、減額される仕組みがあります。せっかく働いても、もらえる年金が減ってしまうのは残念ですよね。この記事では年金を満額受け取りながら働く方法をお伝えします。目安となる収入額と計算方法を知り、老後のマネープランに備えましょう。

目次

年金をもらいながら働いてもいいの?

老齢基礎年金、老齢厚生年金、特別支給の老齢基礎年金は、給与収入とあわせて受け取れます。
ただし、厚生年金保険に加入しながら働く場合、老齢厚生年金と給与の合計額が月50万円を超えると、老齢厚生年金または特別支給の老齢厚生年金が減ってしまいます。この制度を在職老齢年金制度といいます。

詳しい計算方法は以下で紹介しますが、50万円という数字は頭に入れておきましょう。

年金を満額もらいながら働く戦略とは

年金を満額もらいながら働くためには、給与をいくらまでもらって良いのでしょうか。計算までの3ステップを確認しておきましょう。

①目安となる年収を知る
②もらえる年金額を知る
③基本となる年収の計算式を知る

①目安となる年収を知る

老齢厚生年金に月額報酬と賞与を合計して月平均50万円以下であれば、基本的に年金は減額されません。

老齢厚生年金をもらいながら、厚生年金保険の被保険者として働いている人が対象です。老齢厚生年金と給与の平均月額に応じて、年金の受給額が減ったり、支給停止される場合があります。

勤務している事業所や、年金を受け取るタイミングによって、一部の方は計算方法が異なることに注意が必要です。詳しくは日本年金機構のホームページにて詳細をご確認ください。

②もらえる年金額を知る

年金の見込額や支給額は「ねんきんネット」を利用すると簡単にわかります。

ねんきんネットとは、年金記録の確認や年金見込額の試算、電子版の年金定期便の確認などができるサービスです。スマートフォンやパソコンから利用可能で、24時間いつでもどこでも確認できます。

まだ年金を受け取っていない方も、「かんたん試算」を使うことで、将来受け取る年金見込額がカンタンにわかります。老後のライフプランシミュレーションにぜひ役立ててください。

③基本となる年収の計算式

基本月額 + 総報酬月額相当額 ≦ 50万円(支給停止調整額)

聞きなれない言葉がいくつかありますね。まずは用語について解説します。

基本月額=年金額 ÷ 12(加給年金額は含まれません)
✅総報酬月額相当額
=給与の月額(標準報酬月額) + 1年間の標準賞与額の合計 ÷ 12

老齢基礎年金については、給与などにかかわらず全額受給できます。
実際にこの式を使って、満額受給できるかを確認してみましょう。

<例1:満額もらえるケース>
基本月額17万円(老齢厚生年金10万円・老齢基礎年金7万円)
給与が20万円 年間賞与が36万円 の場合。

10万円 + 23万円 = 33万円 ≦ 50万円

老齢厚生年金と総報酬月額相当額の合計が50万円を下回っていますね。
この場合は年金を満額受け取ることができ、本人の収入合計は老齢基礎年金7万円を加えた40万円となります。

50万円を超えている場合は、以下の計算式で調整額がわかります。

<在職老齢年金による調整後の年金支給月額>
基本月額ー(基本月額+総報酬月額相当額ー50万円)÷2

※令和6年度の支給停止調整額

老齢厚生年金と総報酬月額相当額が50万円を超えた場合は、超えた分に応じて年金支給額が減額されます。

<例2:年金が減額されるケース>
基本月額23万円(老齢厚生年金16万円・老齢基礎年金7万円)
給与が40万円 年間賞与が36万円 の場合。

16万円 + 43万円 = 59万円 ≧ 50万円
(59万円 - 50万円) ÷ 2 = 4.5万円

この場合、支給停止される額は4.5万円です。

令和4年3月以前に65歳未満の方など、一部計算方法が異なるケースがあるので、詳しくは日本年金機構のホームページを参考にしてください。

制度の変化に応じてライフプランを見直そう

年金をもらいながら働くことは、老後の暮らしを安定させる大切な手段の一つです。特に在職老齢年金制度では「50万円」という基準額を理解することで、効率よく年金を受け取りながら働く方法を考えられます。ぜひ、自分の年金見込額や受給条件を早めに確認し、老後のマネープランを具体的にイメージしてみてください。

ライフプランは人の数だけ存在します。自分にとって最適なプランはどのような暮らし方か、将来に向けてどのような準備をすればいいのか、夢のセカンドライフも含めて家族と話し合っておくと良いでしょう。

老後のライフプランに不安や疑問がある方は、以下よりご相談ください。あなたにとって最適なセカンドライフを考える、お手伝いをさせていただきます。

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この記事を書いた人

保有資格:J-FLEC認定アドバイザー / 1級DCプランナー / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / AFP / 介護福祉士
経  歴:40歳を転機に『お金』について学び始める。介護業界に約9年間従事した経験や、自分自身が家計を立て直した実績を基に提案を行っている。そのほか、物販事業も兼務。

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